毎月の集計にかかる時間を正しく測る方法

毎月の集計時間を正しく測る。作業時間と待ち時間を分けて記録。表を確認する担当者と時計のイラスト。

「この作業、だいたい2時間くらい」という感覚は、実際に測るとずれていることがあります。改善の効果を確かめるには、まずいまの作業にかかる時間を、比べられる条件で記録できる状態に整えます。

ここでは、毎月のExcel・CSV集計を例に、測る範囲の決め方と、中断や待ち時間を含む記録の残し方を紹介します。

1. 測る範囲を決める

まず「1回の集計」の開始と終了を決めます。測る範囲が人や月によって違うと、時間が増減した理由を判断しにくくなります。

決めた範囲は文章にして残します。例えば「データの依頼から、確認を終えた報告の送信まで」と書き、その間の作業時間と待ち時間を分けます。翌月や別の担当者でも同じ基準で記録できるかを確かめます。

2. 作業時間と待ち時間を分ける

月次作業では、実際に取り組んでいる時間と、データや返事を待つ時間が混在します。合計だけを見ると、どこに手を打てばよいか分かりにくくなるため、次のように分けます。

待っている間に別の仕事をした時間は、この集計の作業時間には含めません。待ち時間とは別の理由で作業を止めた場合も、理由を添えて中断として記録します。

作業時間には手順や処理方法の見直し、待ち時間には依頼の時期や確認方法の見直し、といった対策が考えられます。どちらを先に改善するかは、測った結果と業務への影響を見て決めます。

例えば、1人が順に作業し、回答待ち以外の中断がない場合は、次のように分けられます。作業時間50分と、待ち時間を含む経過時間80分は、別の指標です。

10:00〜10:30に取り込み30分、10:30〜11:00に回答待ち30分、11:00〜11:20に照合20分。作業時間は50分、経過時間は80分。
作業時間と待ち時間を分ける記録例(説明用の架空の値)。

3. 中断を前提にした記録の付け方

月次作業は、途中で中断することもあります。記録の負担を抑えるため、作業の区切りごとに残します。

紙のメモでもテキストファイルでも構いません。続けられる形を選びます。

4. 時間と一緒に記録するもの

時間の増減を読み取るには、作業量や条件も必要です。次の4つを一緒に残します。

  1. 対象月(どの月のデータか)
  2. データの件数(行数。月によって大きく変わるため)
  3. 例外の件数(通常の手順では処理できず、個別に判断・修正した行の数)
  4. 担当者(複数人で分担した場合は内訳)

データ件数や例外件数が違えば、同じ手順でも時間は変わり得ます。件数と作業内容を併記すると、処理量の増加なのか、手順の問題なのかを考える材料になります。複数人で同時に作業した場合は、各人の作業時間を合計した「人時」と、開始から完了までの経過時間を分けます。

5. 1か月だけで判断しない

1回の測定値だけでは、普段の状態か、その月だけの事情かを判断しにくいものです。締め日の曜日や連休、決算対応によって、作業量や待ち時間が変わることがあります。記録に慣れないうちは、測定のために時間が増える場合もあります。例外が多い月と少ない月でも、同じ手順で時間は変わり得ます。

まずは複数回の記録を並べて違いを見ます。月次業務なら2〜3か月分が取りかかりやすい目安ですが、それだけで季節変動や改善効果を確定できるわけではありません。改善前後は、件数・担当者・作業範囲・例外の多さが近い回を比べ、違う条件は備考に残します。

件数が違う場合は「作業時間÷データ件数」も参考になります。ただし、準備や報告など件数に比例しない時間もあるため、1件あたりの時間だけで良し悪しを決めず、総時間と例外件数も併せて見ます。件数が0なら算出しません。

6. 測ることが目的にならないようにする

担当者に時間を測ってもらうと、「評価されるのでは」と身構えられることがあります。次の3つを先に伝えます。

測ること自体が負担になるなら、記録の粒度を粗くします。すべてを細かく測るより、判断に必要な範囲で続けられる記録に整えます。

7. 時間を金額に換算するときの注意

削減した時間を金額に置き換えて説明する場面があります。このとき、時間の価値(空いた時間を別の仕事に充てられるという評価)と、現金の増減(実際の支払額や入金額が変わること)を混ぜないようにします。

固定の人件費が変わらない場合、作業時間が減っても、その分の支出が減るとは限りません。「削減時間×時間単価」は、時間を金額換算した参考値として示し、実際の経費削減額と分けます。売上が増えても、入金や利益が同じだけ増えるとは限りません。

換算する場合は、時間単価の根拠、計算に含めた作業、空いた時間の使い道を添えます。品質の向上や負担の軽減も、時間の短縮とは別に確認します。

8. 測れないものは「未測定」と書く

測っていない項目を0と書くと、「発生しなかった」のか「測っていない」のか分からなくなります。次のように区別します。

概算は実測値と分けて「約30分(本人の見積もり)」などと記します。

記録様式の例

対象月 作業 作業時間
(時:分)
待ち時間
(時:分)
データ件数
(行)
例外件数
(行)
担当者 備考
2026-10 取り込み 0:35 1:20 1,240 未測定 担当A 元データの到着待ちあり
2026-10 加工・集計 1:10 0:00 1,240 12 担当A 表記ゆれの修正を含む
2026-10 照合 0:25 0:00 1,240 未測定 担当A 件数と金額を照合
2026-10 報告作成 0:40 0:30 対象外 対象外 担当A 上長の確認待ち
月次集計の記録例(説明用の架空の値)。時間は時:分で記載。

この表は記入例で、実際の業務の測定結果ではありません。時間は「時:分」で、0:35は35分、1:10は1時間10分を表します。「未測定」と「対象外」を使い分け、担当者名は社内で分かる表記にします。データ件数は同じ1,240行を工程ごとに記したもので、足し合わせません。

開始・終了・中断・再開の時刻は別のメモに残し、この表へ集計します。必要な項目を最初にそろえ、追加したい情報はまず備考に残してから、独立した列が必要かを判断します。

まとめ

  1. 「1回の集計」の開始と終了を決めて文章にする
  2. 作業時間と待ち時間を分ける
  3. 開始・終了と中断・再開の時刻を残し、記録の負担を抑える
  4. 対象月・データ件数・例外件数・担当者を一緒に残す
  5. 複数回の記録を、件数や例外などの条件と一緒に比べる
  6. 個人の速さを比べる目的ではないことを先に伝える
  7. 金額に換算するときは前提を書き、現金の増減と分ける
  8. 測っていない項目は「未測定」と書く

当社の計測設計でも、改善前後の条件をそろえ、実測・概算・未測定を区別することを重視しています。条件が異なる場合は、その違いを残して結果を読み取ります。まずは、いつもの業務を無理なく記録できる状態から始めてみてください。

「毎月の集計にどれだけ時間がかかっているか分からない」「測る範囲を整理したい」という段階でもお問い合わせフォームからご相談いただけます。ご相談内容への対応に必要なご連絡を行います。ご希望のない営業資料の送付や勧誘は行いません。